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「報道と観光の狭間でチベット」

昆明からラサまで、茶馬古道(滇蔵公路)を走ってきました。チベットは、昨年の暴動以来、1年間も閉ざされ、観光客にオープンされたのはこの4月。直後のチベットに足を踏み入れました。  
海外に対する報道は、戦争・紛争・暴動・災害・病気など、センセーショナルな記事や写真が多いため、世界は悪で満ちているような錯覚に陥るようです。 
反対に海外旅行に対するパンフレットやガイドブック、新聞の特集記事は、美辞麗句を書き連ねているため、世界の観光地は美で溢れているような妄想に囚われるようです。  
今回は、センセーショナルでも美しくもない、没にされる写真を集めてみました。何気ない、肩肘を張らない、報道と観光の狭間に、真実があるのではないでしょうか。 
次回は、5月26日から6月23日まで「まだ見ぬ中国へ29」の旅に出かけます。

1.塩井の塩田
09年にNHKで放映された「茶馬古道」に出てきた塩田です。私も02年には訪れていたのですが、塩作りは冬の間(5月まで)に限られているので、実際に塩作りを目にしたのは初めてでした。
塩井戸(写真の赤丸)から水を汲み、木の桶で水を担いで運び、貯水槽に水を溜めます。そこから随時水を取り、塩田に撒き、乾燥を待って、約10日ほどで塩が取れるようになります。これがテレビでも紹介されていた塩作りです。メコン川沿いから塩田までは、急勾配の坂を登らなければなりません。これが最も重労働で、女性たちを苦しめてきました。しかし海から遠く離れたこの地域で取れる貴重な塩は、重要な交易の物資となり、歴史は千年にも及ぶと言われています。 塩作りに励む女性に声を掛けてみました。
「こんにちは。塩作り大変ですね」
「いやー最近は、水を運ばなくて良くなったからだいぶ楽になったよ」「???。テレビでは、塩井戸から桶で水を運んでいるのを見たんですが」「あー、頼まれれば、桶で水を運ぶよ。しかし普段は、ホースで水を引っぱて来ているんだよ。どこかの援助で、ポンプを取り付けてくれたからね」
よく見ると送電線(写真の四角丸)が、塩田付近にも来ており、塩井戸まで下りてみると、ポンプが取り付けられていました。ドキュメンタリーにとって、貴重、重要、苦労というのが生命線です。しかしそれを画像で出せるほど、現実は簡単ではなくなっています。この事実に気づいて、07年に撮った写真を見てみると、しっかり送電線が写っており、当時からここには電気が来ていました。
それを外して撮影し、桶で水を運んでもらったNHKの苦労が分かりました。

2.現代版五体投地
今回も五体投地をしている7人ほどの一団と出会いました。ここまで3ヶ月、後1ヶ月をかけてラサを目指すと言います。今回は、五体投地をしている巡礼者ではなく、トラクターに注目してみました。
五体投地での巡礼は、決して徒手空拳ではなく、必ずサポートが付いています。かつては手押し車が多かったのですが、最近はトラクターも増えています。そこに、布団やマット、食糧を載せて、一団を先導します。トラクターが先乗りしたところまで五体投地をし、そこで休憩。休憩の際には、車からマホービンを出して、のどの渇きをいやします。再びトラクターが先乗りして、そこまで五体投地、再び休憩、夜になると休憩が宿泊に変わります。このようにして巡礼はおこなわれていきます。最近では、ソーラーパネル(写真参照)を積み、夜の照明も確保し、携帯電話を持ち、故郷との連絡も欠かさないそうです。
五体投地と言えば、その独特な礼拝方法からや、チベットの神秘性を高めるために取り上げられる事が多いようですが、現実にはその形態は確実に変化してきています。10年以上前ならいざしらず、今は近代装備も取り入れていれています。そんな事実をあまり報道しないのは、報道的にも観光的にも、チベットはいつまでも秘境としておかなければならないのでしょう。五体投地で携帯じゃ、絵にならないですものね。
*中国の携帯用の電波は強く、今回約1650kmのルート上では、ほぼ全域、人気もない渓谷や氷河でも通じました。恐るべし中国。

3.ラサ・ポタラ宮
これがまさに報道と観光の狭間の写真でしょう。報道者の立場なら、八角街(パルコル)を4人で1組となって、パトロールする武装警察の写真を載せ、「緊張感あふれるラサ」と題して発表するに違いありません。観光業者の立場なら、巡礼者とポタラ宮だけを撮り、もしくは西蔵鉄道の写真を載せ、「平和が戻ったラサ」を強調するかも知れません。写真ひとつが、与える印象は大きく異なります。
チベット自治区には外務省の「渡航の是非を検討して下さい」が発令されています。しかし確かに警備は厳しいですが、第三者から見れば平常を取り戻し、観光をするには問題ないように見えます。同じ「渡航の是非を検討して下さい」が発令されていても、イスラム圏でおこっている無差別テロと違い、暴動であり、対象は中国政府を含めた漢人です。日本人に対して危害が及ぶことはないので、その点を理解し、日本人らしく努めれば、問題ありません(日本人に見てもらえるかどうかは私も含めて難しいですが)。
さてこの写真は、ポタラ宮を望む、薬王山の白塔からシャッターを押しました。うまく構図を取らないと、この監視カメラが入ってしまうのです。警察を撮ることは禁止されているのですが、監視カメラ撮影禁止と(普通は撮る人はいない)はされていないので、ポタラ宮と監視カメラの記念写真となりました。
「平和が戻った今のラサ」とでも題しておきましょうか。

 

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