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「騒乱後のウルムチ・ラサの情報をお伝えします」

今回はバイクツアーのガイド兼コーディネーターで、標高3650mのラサに来ています。一般の人からすれば、秘境、高所というイメージですが、敦煌から一週間かけ、4500m級の峠をいくつも越えてきた我々には、ラサは大都会、そして快適な低地です。こんな風に部屋(3星ホテル)でインターネットが繋げ、ガンガン酒を飲めるんですから。いかにイメージと現実は違うかがよくおわかりいただけるかと思います。 

その上、外務省の危険情報では、ウルムチを区都とする新疆ウイグル自治区には「渡航の延期をお勧めします」、ラサを区都とするチベット自治区には「渡航の是非を検討して下さい」が、回りくどい役人用語を簡単に訳せば「危ないから行かない方がいい」、「危ないから行くな」が発令されています。これが出ると、一般的には大手の旅行社は旅行の催行中止にします。ですから、今は新疆にもチベットにも、日本人の観光客は、ほとんど見られません。旅行業界にとっては重〜い、重〜い情報なのです。しかし現実は、報道とはかなり違っています。生のウルムチ、ラサの情報をお伝えします。

1.7月9日のウルムチ 

7月5・6・7日の騒乱から、わずか2日後。広州では、豚インフルエンザの検査をされ、その後空路、騒乱後のウルムチへ。一時はどうなることやらと思っていたが、案ずるより産むが易し。搭乗の際に特別な検査もなく、搭乗者も漢族とウイグル族が混在し、オン・タイムでウルムチ空港に到着した。到着口には、出迎えの人で溢れ、昨年、カシュガルの騒乱の際には、出迎えの人が空港内には入れなかったのとは大違いだった。 

以下は、空港付近のウイグル族の食堂の風景。漢族とウイグル族が何もなかったように、同じ場所で、シシカバブやラグメンに舌鼓をうっていた。出発前に騒動を知らなければ、通常のウルムチと勘違いした事だろう。マスコミは、過激な場面しか報道しないが、それは一部の地域であって、ちょっと外れれば普通の生活がある。記者がこんな写真を本社に送っても、却下され、「もっと緊張した場面を、血が飛び散っている現場を取材してこい。これでは記事にはならない」と言われるに違いない。私は、事件の原因や事件の様子を知りたい気持ちもあるが、報道されない普通の人の生活がもっと気になる。

2.博物館・スーパー・足裏マッサージ 

当初ウルムチの予定は、博物館と大バザールの見学、スーパーで買い物、足裏マッサージだった。さすがに騒乱現場の大バザールの見学は無理だが、他は市内北部の漢族地域のあるため、治安は問題がないという事で出かけてみることにした。走ること30分。市内の交通量は普段と比べ少なく、公共バスに乗っている人が少ないとはガイドの感想で、あまり普段のウルムチを知らない我々には、公安があちらこちらに立っている訳でもないため、それほどの違和感はなかった。もちろんこんな時に、博物館を見学したのは我々だけだったが、スーパーには多くの買い物客で賑わい、足裏マッサージも繁盛していた。博物館前では、武器を携帯し、迷彩色の服姿の武装警察の兵士を満載したのトラックを見かけたが、車体の脇には「国は新疆を愛し人民を愛する」「人民の団結こそが幸福である」等のスローガンが掲げられ、鎮圧部隊という様相ではなかった。現場を訪れてはいないし、ウイグル族が居住する地域にも足を踏み入れていない。確かにこの内容では、中国政府の思惑通りで、物足りないと言われても仕方がないが、これが実際に見たウルムチの感想である。 

16日の時点では、大バザール付近の店もオープンし始めてはいるが、人通りはまばらで、夜には、警察や軍の姿だけが目立つという。未だに国際電話は不通、インターネットは遮断されているという情報だ。かつては平和に共存してた漢民族とウイグル族。ここ数年の騒乱で、お互いの不信感が募っているのは間違いない。

3.ラサの今 

ラサを訪れる観光客は、昨年の騒乱以降激減したが、今年になって急激に回復してきている。特に中国人の数は以前の水準に戻り、欧米人の姿もあちらこちらで見かけるようになったが、外務省の危険情報の影響で、日本人の姿は少ない。一昨年の青蔵鉄道ブームで、日本人の観光客で溢れたラサとは大違いだ。しかし、誰でも来られない方がラサらしくていい。5日間の安い忙しいツアーでラサに来た観光客に、「チベットに行ってきた」とは言って欲しくないからだ。チベットは、高山病でフラフラになりながら、足早に立ち去っていくところではない。 

写真は撮り方によって、カメラマンの意図通りの表現をすることができる。ポタラ宮だけを撮せば、美しい観光用のポスターになり、武装警察の姿を入れれば、厳戒中のラサを表現できる。17年間に何回もラサを訪れた私から見た、現在のラサは以下の写真が最も相応しいと言える。この写真に、あちらこちで見かける武装警察の姿を入れれば、完璧な今のラサになるが、軍や警察関係は撮さないというルールは守る。 

近代的な建物に囲まれ、武装警察に守られているのが、今のポタラ宮であり、ラサのシンボルである。 

 

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